今回、筆者はいわゆる「2号車スイート」に乗りました。このトワイライトエクスプレスの2号車には5つの個室があり、スイート1室と「ロイヤル」という1人用個室が4室あります。面積ではスイートはロイヤルのほぼ2倍です。寝台料金はスイートが50,980円、ロイヤルが17,180円ですから、スイートはロイヤルのほぼ3倍。面積当たりのコストパフォーマンスはロイヤルのほうが上です。

ところが、乗車券や特急料金を入れた総額で計算すると違ってきます。スイートは1人あたり44,810円、ロイヤルは36,500円で、面積が2倍であることを考えると、スイートのほうがコスパが上、と考えることもできます。さらに、B寝台と比べると、最安値の「Bコンパートメント」でも25,620円もしますので、スイートはB寝台の1.7倍の価格で乗車できることになります。こう考えると、スイートはもっとも「お得」な個室といえます。

鉄道に詳しい人にはよく知られた話ですが、面積で計算すると、日本の寝台特急のA寝台料金の価格は安く設定されています。B寝台車両の乗車定員は最大34名。スイート・ロイヤルの2号車の乗車定員は6名。5倍以上の開きがあるのですから、寝台料金は面積で考えれば5倍以上の差があってもいいでしょう。ところが、現実のB寝台料金は6,300円。ロイヤルの17,180円はその3倍にすぎません。スイート1人あたり(25,490円)はその4倍程度です。
さらに付帯サービスを含めたプレミアム性を考慮すれば、価格差はもっとあっていいでしょう。乗車券・特急券を含めた総額で3倍程度の金額になっていてもいいのではないか、と思います。つまり、スイート、ロイヤルは一人当たり7~8万円。スイート1室で総額15万円。このくらいが適正価格のような気がします。現在のスイートは1室約9万円(89,680円)ですから、1.5倍は値上げしてもいいと思いますし、それより高くても乗る人はいるでしょう。
こういう価格設定をして、A寝台中心の客車編成にしておけば、寝台特急はもう少し利益の出る列車になっていたのではないか、と思います。利益が出ていれば、将来も存続できたかもしれません。