ケアンズ観光の目玉の一つが、キュランダ・シーニック・レールウェイ。ケアンズとキュランダの間37kmを結ぶ鉄道路線です。1882年に地元住民の輸送用に建設されましたが、1936年に観光列車が走り始め、現在は完全に観光化された鉄道になっています。
日本語では「キュランダ観光鉄道」や「キュランダ鉄道」と簡単に表記されます。テレビ番組『世界の車窓から』のオープニング映像に使われていたこともあり、日本人にはよく知られています。
列車は1日2往復のみ。ケアンズ発は8時30分と9時30分の2本だけです。キュランダまでは1時間45分。キュランダからは、「スカイレール」というロープウェイに乗ってケアンズに戻ってくるのが定番の観光ルートです(またはその逆)。チケットは駅で購入して96ドル(約9100円)。これには観光鉄道とスカイレールの運賃が両方含まれています。
ケアンズ滞在2日目。ケアンズ駅に8時10分頃に着くと、すでに列車は入線しています。11両編成で、筆者の座席は10両目。ツアー客と個人客で車両が分けられているようで、出発時点で丸々空いている車両もありました。。


4人掛けのシートが向かい合わせになっています。通路を挟んで2人掛けずつにしたらいいのに、と思いますが、絶景が右窓に偏っているため、こうした座席配置になっているようです。そのため、満員だと4人掛けの真ん中でしかも向かい席にも人がぎっちり、なんてことになりそうです。

さいわい、筆者の乗った車両の半分は空席で、ゆったりと旅を楽しめました。一方、ツアー客の車両は詰め込まれやすいので、この列車は個人で乗った方がいいようです。
定刻より少し遅れて、8時35分発。ゆっくりとした速度でケアンズの町を離れます。いつまでも加速しません。なにしろ、表定速度約21kmの鈍足列車です。
20分ほど走り、フレッシュウォーターステーション着。ツアー客はこの駅から乗車する決まりのようで、大量の客がホームに溢れています。立派な駅舎もあります。しかし、停車時間は短いので、乗車客が駅舎をのぞくことはできません。

フレッシュウォーター駅を出ると、いよいよ山に分け入ります。グレードディバイディング山脈の端っこです。中学の地理の時間に習った、大分水嶺山脈のことですね。列車はバロン川という流れの渓谷にそって、グレードディバイディング山脈に突っ込んでいくのです。
大きな右カーブがあります。ホーシューベンドと言われる180度のヘアピンカーブ。ここから勾配が厳しくなります。列車は細かくカーブしながら、高度を稼いでいきます。カーブでは写真撮影ができるように、ゆっくり走ってくれます。

ストーニークリーク橋。路線最大の鉄橋です。

反対側には滝があります。この滝も見どころの一つですが、乾期なので水量には乏しいです。

さらに山を登り、バロンフォールズ駅に到着。ここでしばし休憩です。

ホームからバロン滝を望めますが、こちらも水量はあまりありません。むしろ、絶壁のカーブに停まる列車の姿のほうが美しいといえるでしょう。

終点キュランダ着。時計を見ると10時35分で、10分ほどの遅延です。結局、ケアンズから2時間ほどかかりました。

キュランダに列車が着くと、すぐに機関車は切り離され、最後尾に付け替えられました。

列車が到着した直後はホームも駅前も人だらけでしたが、15分もすると他の乗客の姿は消え、静かな田舎駅の風情になりました。

これで、キュランダ鉄道は完乗です。