熊野本宮から新宮へ(「八木新宮特急バス」乗車記4)

13時40分十津川温泉発。1分遅れ。乗客はバスファン5人だけとなりました。

十津川橋

ここからは、奈良和歌山県境に向かいます。といってもまっすぐ向かうわけではなく、まずはホテル昴に寄ります。バス停には2人お客さんがいましたが、乗ってきませんでした。ここには他にバス路線はなく、あの二人は、どこへ行くバスを待っていたのでしょうか。

二津野ダムを左に見て少し走ると、バイパスに入ります。このバイパスが、腰を抜かすほど立派な高架橋です。山岳区間の谷筋に貼り付くようにPC桁が連続しています。後で調べると、この区間は七色高架橋とも呼ばれていて、日本最大規模の山岳部連続高架橋だそうです。現時点の全長は約1.7kmあります。

七色高架橋

ちなみに、「十津川バイパス」と書きましたが、正確には「五條新宮道路」の一部だそうです。ここに限らず、これまでに見てきた高規格道路はすべて「五條新宮道路」の一部のようで、完成すれば全長約130kmの壮大なバイパスになるそうです。

しかし、この道路、現在奈良和歌山県境のトンネルが通行止めで、バスは旧道を迂回します。これも後で調べると、2012年にトンネル内で亀裂が見つかったため、通行止めにしているとか。該当する土河屋トンネルは2005年にできたばかりだそうです。そんなできたてのトンネルで亀裂が見つかるとか、大丈夫なのでしょうか。

いよいよ和歌山県。14時13分です。

和歌山県境

和歌山県に入ると、車窓が一変します。十津川から名を変えた熊野川の谷筋が広くなり、開放的な風景が広がります。おお、これが紀州か、という明るい雰囲気です。いや、大和が暗いというわけではないのですが……。

熊野川

熊野川沿いの大和と紀伊の国境には分水嶺はありません。ただ、分水嶺がなくても、これだけはっきりと風景が変わると、なぜそこが国境なのかがはっきりわかる。そんな印象でした。

14時25分本宮大社前着。またまた2分遅れです。乗降はありません。

本宮大社前

熊野本宮の鳥居を眺めつつ、いよいよ新宮までのラストランです。

熊野大社

と思いきや、バスは脇道に逸れていきます。まっすぐ国道168号線を新宮に向かうのではなく、山道に入って湯ノ峰温泉に向かいます。この道が、とにかく細い。

湯ノ峰への路

大型車同士はもちろん、小型車同士ですらすれ違えないような区間もあります。

ようやく湯ノ峰温泉バス停を通過。乗り降りはありません。

湯ノ峰温泉

再び狭隘な道を抜けて、渡瀬温泉、川湯温泉を経由し、国道168号に戻りました。

もともと、八木新宮特急は、湯ノ峰温泉は経由しませんでしたが、かつて走っていた急行バスが廃止され、代わりに八木新宮特急が立ち寄るようになったようです。まっすぐ168号を進めば3分もかからないような距離を、大回りした上に狭隘な道路を抜けるので、20分くらいかかってしまっています。でも、それがいまの時代のローカルバスの使命なのでしょう。

川湯温泉を出ると、停車するバス停は絞られ、通過バス停が多くなり、「特急バス」らしくなります。

もともとは、五条~新宮の全区間で「特急」だったらしいのですが、最近はバス全体の本数が減ったため、奈良県内での通過バス停はなくなっています。しかし、本宮大社前より南は、熊野交通の営業エリアでもあり、奈良交通はどちらかといえばよそ者です。そのためか、停留所を絞って特急運転が維持されているのかもしれません。

熊野川の清流を左に見ながら、快走していきます。

熊野川の清流

15時11分頃に神丸というバス停を通過すると、次は新宮高校まで、時刻表で26分間無停車になります。

大きな土砂崩れの後が見えます。これも2011年紀伊半島豪雨の爪痕でしょうか。

紀伊半島豪雨の土砂崩れ

このあたりから、熊野川の清流は濁り水になってきました。

熊野川が左に大きく逸れ、バスはバイパスのトンネルに突入します。それが新越路トンネルで、抜けるといきない新宮市街に飛び込みました。トンネルを抜けたら、そこは新宮だった、というような、唐突な拓けかたです。

新宮市内

新宮市内は、少し渋滞していました。ここまでの道中では渋滞という概念すら忘れていたので、ちょっと新鮮です。

新宮市内の渋滞

新宮市内では、乗客の乗り降りはなく、バスは新宮市内のバス停を次々と通過し、15時44分、定刻に新宮駅に到着しました。

新宮到着

本当に定刻ぴったりです。これだけの長距離を走っても定時運行なのですね。日本のバスはスゴイです。

バスはしばらく停留所に止まり、車庫に向けて走り去っていきました。

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